自殺報道ガイドラインに即した報道の呼びかけ

報道による自殺の誘因を防ぐための『自殺報道ガイドライン』の周知徹底が不十分な現状

 メディアによる有名人の自殺報道は、過度に繰り返されたり、かつその内容次第では「死にたい」と考えている人を「自殺」行動へ誘引するリスクがあります。

 WHO(世界保健機関)は『自殺対策を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識2017年版(いわゆる『自殺報道ガイドライン』)』を公表し、自殺関連報道として「やるべきでないこと」と「やるべきこと」を明示しています。

 ただ、日本の報道においては、いまだこのガイドラインが十分に周知徹底されているとはいえない状況です。

 

女子プロレスラーの死去報道に対して、メディア各社への緊急的に注意喚起を実施

 2020年5月23日、人気テレビ番組にも出演していた女性プロレスラーが、自身のインスタグラムに遺書めいた投稿をして亡くなったことについて、死因は公表されていませんが、一部では自殺の可能性も伝えられています。そのことに鑑み、翌24日、いのち支える自殺対策推進センターは報道機関、SNS事業運営者等にWHOの『自殺報道ガイドライン』を踏まえた報道の徹底を緊急的に呼びかけました。

以下、ガイドラインの抜粋です。

《自殺関連報道として「やるべきでないこと」》

▼報道を過度に繰り返さないこと

▼自殺に用いた手段について明確に表現しないこと

▼自殺が発生した現場や場所の詳細を伝えないこと

▼センセーショナルな見出しを使わないこと

▼写真、ビデオ映像、デジタルメディアへのリンクなどは用いないこと

 

《自殺関連報道として「やるべきこと」》

▼有名人の自殺を報道する際には、特に注意すること

▼支援策や相談先について、正しい情報を提供すること

▼日常生活のストレス要因または自殺念慮への対処法や支援を受ける方法について報道すること

▼自殺と自殺対策についての正しい情報を報道すること

 

自殺対策を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識2017年版

https://www.mhlw.go.jp/content/000526937.pdf

 

従来のメディアだけでなく、SNS拡散やまとめサイト等への対策が必要

 今回の件においては、いまだ一部大手新聞社やテレビ局、芸能メディアなどで、「自殺」を強調したり、自殺に用いた「方法」を記すなど、メディアガイドラインから逸脱した報道が多数確認されました。

 また、それがSNSで拡散されたり、まとめサイトや個人が運営するサイトでも、多くの不適切な記事が露出されていました。これらに対しての対策が今後必要と考えます。