児童生徒に対する「SOSの出し方に関する教育」

 

「SOSの出し方に関する教育」

 「SOSの出し方に関する教育」とは、生きることの包括的な支援として「子供が、現在起きている危機的状況、又は今後起こり得る危機的状況に対応するために、適切な援助希求行動(身近にいる信頼できる大人にSOSを出す)ができるようにすること」、「身近にいる大人がそれを受け止め、支援ができるようにすること」を目的とした教育です。

すべての子どもに“生活上の困難・ストレスに直面したときの対処方法”を義務教育の過程で教育プログラムとして提供し、命や暮らしの危機に陥った若者が、“助けの求め方が分からない”“相談機関や支援策の存在を知らない”ために、自殺に追い込まれる事態を防ぐことを目指して開発されました。

 授業の実施にあたっては、地域の保健師等の外部講師が関わることが望ましいとされています。保健師等が授業を行うことにより、児童生徒等に対して、保護者でも教職員でもない「SOSを出せる大人(地域の専門家)」を具体的に紹介する機会にもなること。また、保健師が仲介役を務めることで、学校と地域とが連携して、児童生徒等及び保護者を含めた世帯に対して支援を行うことが可能となるためです。

 「児童生徒のSOSの出し方に関する教育」は、自殺対策基本法の第17条2項において「困難な事態、強い心理的負担を受けた場合等における対処の仕方を身に付ける等のための教育」として、この実施が努力義務とされており、また基本法を踏まえて策定される自殺総合対策大綱においても「社会において直面する可能性のある様々な困難・ストレスへの対処方法を身に付けるための教育」と位置づけられ、児童生徒の生きることの促進要因を増やすことで自殺対策に資する施策とされています。地域自殺対策の政策パッケージにおいても、すべての自治体で必ず実施することが望ましい基本パッケージの施策のひとつとされています。

 

これからの子ども・若者への自殺対策

 日本における子ども・若者の自殺対策はこれまで十分とは言えない状況でした。平成18年の自殺対策基本法の施行以後、自殺対策がまず重点を置いてきたのは中高年男性の社会経済的問題と関連した自殺であり、啓発活動や相談体制の整備などについても中高年世代を対象とした対策が中心でした。その後、本邦の自殺対策が一定の効果を挙げ、日本全体の自殺者数の減少がみられるようになりましたが、未成年者の自殺は減少には至っておらず、若年層向けの自殺対策の重要性があらためて指摘されるようになっています。

 いのち支える自殺対策推進センターは、自殺総合対策部内に「子ども・若者自殺対策推進室」を設置しています。当室でこれまで重点的に行われてこなかった「子ども・若者に対する自殺対策」について、特に注力して実効性のある施策を実施していきます。